Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

水利の行方

 昨年、赤城大沼を訪れたことを記した。その水利施設に関わる人々が、先日伊那市を訪れた。昨年こちらからお世話になった縁で、研修先の紹介を依頼されて、伊那市駒ヶ根市の同じような関係団体を紹介した。その方たちも、昨年研修に参加されたので、そのお返しという意味でも快く引き受けていただいた。わたしは視察先を紹介しただけのことだったが、研修を終えお帰りになって、「良い研修ができました」とお礼のメールをいただいた。

 実は紹介するにあたって、この地域で特徴的なこととは何か、と少し考えた。たまたま駒ヶ根市の関係団体まで足を伸ばすとあって、少し頭に浮かんだのは伊南の畦畔管理だった。例えば「見事な〝畔〟」で触れた畦畔の美しさはこの地域特有のもの。今回多面的機能支払い交付金にかかわる組織の方たちが研修に加わるということもあって、畦畔管理に対しては多様な視点、考え方があると感じていただけにこういう光景を見てもらうのも良いのでは、と思った。ところが視察が12月になると聞いて、草刈の季節は終わっている。ということで紹介するのを断念した経過があった。

 お礼の言葉をいただいたので、畦畔管理に関する写真をお送りして紹介させていただくと、「すごくきれいな畦畔ですね。長野はきれいなところですね。農業が元気な証拠です。農業が頑張ると景観も良くなりますし、みんなも、元気になります。」と再び返事をいただいた。さらに「長野に比べると群馬県はまだ努力が足りないなあと反省して帰りました。」とも。本当にそうだろうか、と思うのは、この地に暮らし、農村の変化を見ていてのこと。

 一昨日も触れた通り、このところ佐久穂町に何度となく足を運んだ。さらに前には八千穂鷽ノ口にある分水工について触れた。実は南佐久ではかつて水田であったところが、転作によって畑地化しているところが多い。水平畑の多くはかつて水田だったところで、そうした畑地が水田地帯の中に混在しているところも多い。そして谷地田のようなところに導水するかつての水路形が残っている姿を見るとき、かつては苦労されて導水していたのだと気がつかされる。ようは、そうした水利の光景がすでに大きく変わっている地域なのだ。農政はすでに稲作から高収益な畑地化へ舵を切っている。そのいっぽうで、水利によって地域が成してきた姿に変化が現れている。それはこの時代の農業の衰退と絡んでいるもの。時勢といえばそれまでだが、この後、水利社会の退化によって何が起きるか、心配でならない。

 

お読みいただき、ありがとうございました。